仮定法と構えずに "would be" を使おう
「ノッティングヒルの恋人たち」という映画があります。ハリウッドの人気女優が、ロンドンのしがない本屋さんと恋におち、結果ハッピーエンドという”おとぎ話”。
穏やかなユーモアがあちこちに散りばめられ、主役ふたりは見目うるわしく、演技も楽しく、大好きです。
ここで、あるシーンのセリフを取り上げます。
あるスキャンダルでマスコミに追われるようになった彼女が、本屋さんの自宅に駆け込んできたときです。
ひどく動揺し、興奮がおさまらない彼女に、本屋さんは落ち着くように促して、
“Now what would you like? Tea? Bath?”
(じゃあ何がいいかな。お茶にする?お風呂に入る?)
と静かに問いかけます。彼女は、
“A bath would be great.”
(お風呂にさせてもらうわ。)
と涙をぬぐいながら、スマイルを作って答える、そんなあったかいシーンのセリフです。
以前に本屋さんにひどいことをしてしまったまま、疎遠になっていたにもかかわらず、混乱と焦燥のまま転がり込んできた彼女を、タダゴトでないと受け入れてくれた本屋さんの前で、女性の方がちょっとしゃんとするという感じが現れていて、無理して作るスマイルと合わさると、何とも絶妙なシーンです。
仮定法として
さてこの would be ですが、仮定法では、例えば、
“If you had a license, it would be allowed.” = “As you don’t have a license, it is not allowed."
(あなたはライセンスをお持ちでないが、もしライセンスがあったならば、許可されていたでしょう。=ライセンスがないのだから、許可されません。)
といったように、現実と違うことを想定して、その場合はこうなる、という表現に使います。
上の映画のシーンのように、自分がこうしたい、ということを丁寧に言うような局面では、
「もし、お願いできるのでしたら。」「ご迷惑じゃなかったら。」という留保をつけた上での、表現になります。
ビジネスシーンでの would be
この would be はビジネスシーンでも多様します。
例えば、あなたの部下が担当範囲の業務について、いついつまでに何ができるとあなたに伝えたとき、あなたのセリフとして。
“That would be great."
やってくれたら、うれしい、ありがたい、というニュアンスになり、ただ “All Right.” と言うよりずっといいです。
または、他社を訪問して、コーヒーか何か召し上がりますか、と言われたとき、
「いや、別に、ダイジョブです。」ではなく、こちら。
“ Yes. A coffee would be nice."
もちろん何もほんとにいらないならば、そう言ってください。
“Thank you, but I think I’m doing all right.” など。
would be のおすすめでした。
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助動詞 will 「お引き受けします」
これもクラスで頻出するのですが、
”助動詞 will は、未来形” --と単純に思ってはいけない
というポイントです。
”未来形”と思っていて大丈夫な場合と、そうでない場合があります。
大丈夫なのはこちらのような例です。
It will be fine tomorrow. (天気)
=あしたはいい天気でしょう。
The next World Cup will be held in Japan. (行事の予定)
=次のワールドカップは日本で開催されます。
のように、話し手とカンケイないところで、決まっていることに使う will は、
”助動詞 will は、未来形” でまちがいありません。
一方、自分の予定や、これからすることを will で言うのは適切ではありません。
ここで ”助動詞 will は、未来形” と考えて使わないほうがいいのです。
I'm going to Tokyo next week. <be going to>
=「来週、東京に行きます。」
He has a meeting this afternoon. <現在形>
=「彼は午後ミーティングがある。」
これらの例のようにするほうが自然です。
仮にこんなせりふがあったら、どう受け止めればいいでしょう。
I'll talk to the manager soon.
=「マネージャーにすぐ話しておきます。」
I'll let you know when it's done.
=「終わったらすぐ知らせます。」
ここでの will は、現在から行うことを言っているだけでなく、
話し手がそれを引き受けた、
そのことが聞き手にとってメリットがある、
という意味です。
I'll do that for you.
=「それ、私やっておきますよ。」
これはセットフレーズで覚えておくといいです。
引き受けた+相手のメリット
の will の典型ですので。
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「趣味は育児です」が通じない
定期的にネイティブさんに来てもらって、会話のレベルチェックをします。信頼できる業者さんに頼みます。
1対1で、趣味や週末の過ごし方などの身近な話題から、徐々に時事問題など込み入った内容へと進みます。どこまで行けたかが、会話力の目安になります。
わたし(通常クラスの講師)は、衝立ての反対側で、別の作業をしながら、聞くともなく聞いていますが、12月はじめにある企業さんで行ったとき、三十数名の中の二人の方が同じ状況で戸惑っていました。
英語に自信がないと、「あれ?今ので伝わったのかな。」と不安になって、変な空気にしてしまうことがあります。そんな状況の1つですが、きっかけは、
"What's your hobby?"
という質問に、「育児です。」と答えたところでした。お二人とも若いパパさん。
正確に覚えていませんが、"child-bearing"とか、"playing with my baby"とか、言ってらしたように思います。担当していたネイティブさんは、ちょっとキョトンとなって、スポーツは好きですか、とか、旅行はしますか、という質問に移っていきました。
後日、「”趣味は子育てです。” ってだめなんですか。」とおっしゃってました。だめってことはないですが、通じはしないのですね。
『24時間戦えますか』は昭和のCM、そこから余り変わらない働き方をしているのです。『マイホーム・パパ』という言葉も、昭和の響きですね。そのころ、サラリーマンどうしの挨拶代わりに、「育児が趣味のようなもんですわ。」なんていうのが当たり障りのないセリフになり、ごく幼少期に平成に突入した彼らもまだそのセリフを疑問を持たずに継承しているという。。
グローバル圏(ていう言葉も変ですがとりあえず)の想定としては、ビジネスマンに出会ったときその人の人生には、careerがあって、family buildingがあって、さらに自分が熱中できる興味対象や趣味、つまりhobbyがあるというカテゴリー分けかと思います。
それに対して、
hobby = 趣味 = 仕事で拘束されていない時間に主にやっていること(好きでやってるかどうかは別にして)
というふうに考えた『企業戦士』は、にこにこして「趣味は子育て。」と言い、「会社では上司、家では奥さんに頭が上がらない。」というセリフも継承しています。
ネイティブさんの質問が、"What do you do in your free time?" であった場合、ごくロジカルに、「仕事が休みの日、家では家の tasks(ノルマ)があって、自分には free time はない。」と答えていた方もありました。
ちなみに英語でなくて、日本語の話ですが、自分の奥さんのことを、「奥さん」ていう若い人、多いです。「家内」が妥当でしょうが、何か可愛らしい感じ、且つどこか下には置かない感じですね。関西弁の「嫁があ」は好きです。