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企業内英語研修の企画運営・講師をしています。こばれ話を書いていきます。(「人事コンサルの英語研修」www.wilval-hr-support.com)

「ぼく」が英語を勉強できない理由

英語研修受講生:「ま、自分の努力が足りないのだろうとは、思いますけど、英語、どうしたらいいかなと思って。」

 

講師:「そりゃ、しんどいですよねえ。今までで一番英語をやったのは、受験のときでしょう?
学校英語や受験英語は、使うこと想定してないもの。今、業務で使えるレベルにしようという英語は、まったく別種目と思わないと。」

 

英語研修受講生:「あ・・・そーですよね。」

 

講師:「英語、好きでした?」

 

英語研修受講生:「いや、正直言って、丸暗記っていうか。単語の数でなんとか、間に合わせる感じで。」

 

講師:「そうでしょ?楽しくないのに無理やりしていた記憶もあるから、今まじめにやろうとすればするほど、違う方向で必死になり、しかも、いやになってしまうという。」

 

英語研修受講生:「方向が違うんですか。ビジネス用語とかそういう。」

 

講師:「じゃなくて、音。使うこと前提かどうか。
一昔前みたいに、Eメールが何とかやりとりできればなんて、悠長なこと言ってられなくて、価格や仕様のことで、がっつり相手を納得させないといけないわけでしょ?
そのための”耳と口の感覚を駆使する英語”という別種目に取り組んでください。」

 

英語研修受講生:「昨日もテレビ会議あったんですけど ―― 毎週あるんですけど ―― 何言ってるかぜんぜんわかんなくて。先輩に、後から説明してもらう感じで。」

 

講師:「耳の中に英語の音を受け止めるような“レセプター”を作っていくんです。
そのために、耳と口を使ったトレーニングを毎日してください。クラスでやったでしょ?あれを毎日少しでも。」

 

英語研修受講生:「一応、通勤中は、アプリとか、CDとか、英語を聞いているんですけど。」

 

講師:「読むことに、多読と精読とあるように、聴くこともその2つがプラスになります。ニュースなどを聴いて、概ね内容を理解する、という“多聴”と、繰り返し、細かいところまで、聴き取ろうと集中してとりくむ“精聴”。


通勤中に流しておくのは、そのどっちでもなくなる可能性が高く、効果を疑います。

 

そういう聞き方と、“昔使った単語本“のセットで、”努力“するのが、足踏みして上達しないパタンです。」

 

英語研修受講生:「ほぼ、そっちの方向でした。しんどいです。」

 

講師:「そのしんどさは、がんばらなくていいですが、まったく新しい種目、しかも”耳と口の感覚を駆使する種目”に取り組むのも、やっぱりしんどいと思いますよ。


楽器とかやったことありますか?スポーツは?


その習得と似ています。テニスの素振りとかも、意識しないでできるまで、繰り返しするでしょう?英語が好きでもなかった人が、“業務”で使える英語ができるようになるっていうのは、5mしか泳げない人が500mはとりあえず泳げるようになる、音符もコードも知らない人がテキトーに合わせられる程度にギターを弾けるようになる、のと同じようにしんどいはずです。」

 

英語研修受講生:「うわー、ムリですかね。」

 

講師:「そんなことないです。一朝一夕には上達しない、ということを、受け止めて、淡々と続けられるかどうかが、分かれ目になります。」

 

英語研修受講生:「どれくらいで、できるようになりますか。」

 

講師:「たいていの英語テキストは、1日1~2時間の勉強時間を推奨しています。今の働き方じゃ、考えられないですよね。そこは、会社として考えてほしいところなんですが、すぐには変わらないでしょうから、せめて1日15分、土日に1~3時間、時間をとってください。


朝が得意?夜型ですか?」

 

英語研修受講生:「夜はもう疲れてて。朝ですかね。」

 

講師:「語学は朝がいいって、自律神経のお医者さんがおっしゃってたように記憶してますが、人の生活リズムはその人にしかわからないので、いいタイミングを見つけてください。それも試行錯誤の期間があると思います。」

 

英語研修受講生:「わかりました!やってみます。耳と口ですね。」

 

講師:「そう。絶対に声に出して。
土日には、ライティングやリーディングの宿題をやってください。 

時間ないですか?」

 

英語研修受講生:「いや、ないことないです。」

 

講師:「それをやっていって、2~3年で格段に自信をつけていった人たちが、すでにいますので、是非やってください。


今は、好きでもないことをさせられている感があるかもしれませんが、これから何十年ビジネスパーソンをやっていく予定ですか?
そのキャリアの中に、英語の必要ないワールドは想定できますか?
もっともっと、当たり前に英語が使えることが要求されるようになるでしょう?転職ということにでもなれば、英語ができる/できないで選択肢の幅が変わるだろうし。

 

今はあなた以上に、課長さんが必死にあなたの英語力を上げてほしいと思っていますが、行き着くところ、完全ポータブルのあなたのアセットになるのです。」

 

英語研修受講生:「そうですよね!やってみます!」