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企業内英語研修の企画運営・講師をしています。こばれ話を書いていきます。(「人事コンサルの英語研修」www.wilval-hr-support.com)

プレゼン用スライドとハンドアウトをひとつのパワポにするって誰が決めた

私が母親業に専念している次期、FAXが先進的なビジネスツールでした。

仕事に復帰したときは、メールがコミュニケーションの主役になっていました。

 

「なるほど学生のころ(1980年代)世の中ペーパーレスになると言われていた通りだ。」

 

と思うのもつかの間、会議やセミナーで驚愕の事態を目の当たりにするのでした。

 

プレゼン用スライドはOHPからパワポに主流が移っていました。ですがなんと、それを丸々コピーしたものを渡すことが、慣習となっているのでした。

 

聴いている方は下を見て、プレゼン者は頭の上にひたすら声を届ける光景。

 

もう多くの優良企業はこのあたりを改善しています。当然ながら。

しかし比率で言うとまだまだ、”紙大好き”なビジネスワールドではないでしょうか。

 

プレゼンというのは、話をきくものである。メモは自分で好きにとったらいい。

ハンドアウト(手元用資料)が必要なら、必要なところだけコンパクトに印刷して渡したらいい。ーーー 一方にそういう常識がある中、紙主体の慣習が残る。

 

そのギャップがまた、英語研修の、先日のプレゼンテーション特別セッションで、明らかになりました。

 

その日は、レギュラーで請け負っているある製造業企業の英語研修プログラムの節目として、プレゼンテーションの特別セッションをしました。

信頼できる専門家に見てもらって、アドバイスを受けるというものです。

 

限られた予算の中、本日発表者に選抜された方たちは、2年以上プログラムに参加し、片言もおぼつかなかった状態から、プレゼンをしQ&Aを回すところまで来た人たち。(その進歩ぶりは感動ものでした!あとで書きます。)

 

クラスでいくつかのプレゼンを練習してきました。

そこでの指導でも ”one slide, one message” と唱え続け、ひとつのパワポに入れる情報量を削ってきました。でも限界があったのです。

 

ふだん指導に当たっている私のずるい作戦でもあります。

外から「権威」を連れてきて、自分の言いたいことを言ってもらう。

もちろん、頼んで言ってもらっているのではありません。大事なことは、どの指導者が見ても同じなのです。

私がふだん繰り返し言っても、受け入れ方が中途半端なことで、ユニバーサルに大事なことを、明確に示してもらう効果があります。

 

「このスライドは4枚に分けるべきだ。」

「ここは最初から見せてしまわないで、アニメーションを使って。」

「結論を文字にする必要はない。」

 

というアドバイスが繰り返し出されました。

 

受講生たちは「おっしゃることはわかるが、業務上はそうはいかない。」と。

つまり、パワポを印刷して渡す前提なので

 

・スライドの枚数が増えることをいやがる

・アニメーションは印刷したときにわかりずらくなる

・できるだけ多くの情報を渡すよう指示される

・「相手先に言ったぞ」とエビデンスを残したい

 

という理由から、シンプルなスライドを作れなくなっているのでした。

 

要は、そこを2つに分けましょう、ということです。わかりやすい、かっこいい、すっきりしたプレゼンのために。

 

プレゼン用スライド(視覚情報)  ハンドアウト(手渡し資料)

 

パワポを2本つくるか、ワードでサマリーをつくるか、エクセルで細かい図表をつくるか、などして、細かい情報は分けて渡し、プレゼンでは話すことを主体にして、それを効果的に補うものに視覚情報をすっきりさせる。

 

いずれにしろ資料としてまとめる情報をパワポに入れずに、別ファイルにするだけですから、手間が極端に増えるということもなく、すっきりした情報提示になります。

 

今回の特別クラスは「一人あたりN万円ですよ。」といやらしいことを言って盛り上げて、忙しい業務の中、練習の機会として活用していただきました。大事なことが、伝わり、沁みていったのではないでしょうか。

 

思えば3年半前、こちらの会社で研修を請け負ったとき、そもそも語学が苦手で30歳、40歳になった人が、話せるようになるのだろうかと、実は想像がつきませんでした。年齢はさておいても、仕事が忙しく、ご多分に漏れず連日夜中まで働いておられ、週末も休日出勤をしたり家族サービスをしたりしている人たちです。

 

毎日1時間くらい勉強できれば、上達も期待できますが、宿題を出さなければ、週1時間もしてくれません。

 

それでもプログラムが功を奏したのは ご本人たちの resilience 粘り です。

うまく話せるようになった人たちに共通していたのは、

 

    ・クラスをよほどの事情がなければ休まない

 ・宿題や提出物は必ずする(週1-2時間の負荷)

 ・ミニテストには指定範囲を勉強してくる

    ・休んだ時も提出物などキャッチアップするよう努める

 ・自分でアプリなどを見つけて、研修とは別に少しでもやろうとしている

 

といったことです。これを淡々とやっていれば、話せるようになってしまったのです。そこには静かな決意というか、上に言われたからやっているのでない、はっきりした自律性があります。

 

話せるというより、その堂々たるプレゼンターのふるまいに、そしてご自分の業務・製品をアピールする自信の態度に、惚れぼれしてしまいました。

(2014/4/5 一部加筆)

 

(英語研修の詳しいご案内はこちらをどうぞ。「WILVALの英語研修」)

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